『有酸素運動をやるなら筋トレを行ってから!』というのは、トレーニング経験のある方や、スポーツクラブに通ったことがある方なら誰もが耳にしたことはあるのではないでしょうか?
今日はそこをもう少し噛み砕いてというか、いかに筋トレの後に有酸素運動を行った方が体脂肪を減らす上で「得」かということについてお話ししたいと思います。
体脂肪を直接燃やしてくれるのは「有酸素運動」
まず有酸素運動というのは走ったり、泳いだり自転車を漕いだり、スポーツクラブのエアロビクスなどもそれに当たります。
筋トレは、酸素をエネルギーとしてあまり必要としないので、(筋トレは糖質をエネルギーとして使用する)このことから無酸素運動と言われています。
そして直接、体脂肪を燃焼してくれるのはどちらなのか?答えは「有酸素運動」になります。
筋トレを”行っている最中”は、実は体脂肪はほとんど燃えていないんです。
では体脂肪を燃焼するのが目的なら、「筋トレを行う時間を有酸素運動にまわして少しでも体脂肪を燃焼した方が良いのではないか?」となりますが、そうはなりません。
直接脂肪を燃やしてくれるのは有酸素運動なのに、なぜダイエットには筋トレも入れた方が効率がよいのか?
例えば、体重50~60kgくらいの方が、1時間軽めのジョギング(有酸素運動)を行ったとすると、大体消費カロリーは350kcal~400kcalそこそこぐらいです。
脂肪というのは、1kg辺り7200kcalのエネルギーを持っているのですが、ジョギングで消費した350~400kcalそこそこのカロリーというのは、全部脂肪からエネルギーを消費するわけではなく、脂肪と糖が5:5ずつくらいカロリーとして燃焼されているので、実際に体脂肪から消費したエネルギーというのはそこから更に少ないものになってしまいます。
ちなみにこの脂肪と糖が5:5でエネルギーが使われているというのは、普段の生活でも一緒です。
もちろんジョギングをしている時のカロリー自体が、普段の生活よりも高いカロリーを使うので、同じ5:5でもジョギングをしている時の方が、糖も脂肪も消費している=高いカロリー消費している、ということにはなります。
有酸素運動だけで体脂肪を減らすのは大変!
軽体力者の方が、1時間ジョギングするのはとても大変なことで、1時間ももたないという方も沢山います。
東日本大震災が起きたときに、電車が動かず徒歩で帰らざるをえなかったという方達が、「体力の衰えが激しくて全然歩けなかった」という話しがよく出ていたくらいですからね…。
“有酸素運動だけで体脂肪を燃焼するのは大変だ”…となると、そこで頼りになるのが筋トレになります。
筋トレは行ったその直後から代謝を上げてくれる&脂肪の燃焼を活性化してくれる
筋トレは前述したように、『行っている最中は”体脂肪をほとんど燃やしてくれません。着目するのは、筋トレを行ったことによる刺激がもたらす身体の代謝の変化です。
筋トレは筋肉が沢山ついてからでないと、代謝は上がらないと考えている方も多いかもいしれませんが、実は筋トレを行ったその直後から、筋肉がついた、つかない関係なしにすぐに代謝は上がります。
アメリカの研究チームの発表では、筋トレ後の代謝が高まっている状態というのは、48時間続くという報告も出ています。
つまり筋トレの次の日、家でゴロゴロしようが買い物に出かけようが、筋トレを前日にしていない時よりも、カロリーを燃焼するゴロ寝や買い物ができるということです。
しかも、筋トレ後は代謝が高い状態が続く上に、その代謝の中での脂肪の使われる率も高くなるということがわかっています。
先ほど脂肪と糖がエネルギーとして使われる割合は5:5だということを前述しましたが、それが4:6.あるいは7:3と明らかに脂肪が使われる割合が増える、ということがわかっているようです。
筋トレ直後に代謝が高い&体脂肪が燃焼しやすい状態が続く理由
このような身体的変化が起こる理由としては、筋トレで強い刺激を筋肉に与えたことによって、分泌が活性化される“ホルモン”が大きく関係しています。
まず、筋トレを行うと自律神経の交感神経が活発になり、副腎から『ノルアドレナリン』というホルモンが分泌されます。
このノルアドレナリンの分泌は、筋トレ後に代謝が上がる要因の一つです。ノルアドレナリンは体脂肪を分解する役割も持っているので、体脂肪がエネルギーとして使われる割合を増やす理由の一つでもあります。
更にアドレナリンの分泌から少し遅れて、脳の“下垂体”という部分から『成長ホルモン』が分泌されて、血中に放出されるのですが、この成長ホルモンは脂肪を分解するもっとも強力なホルモンとも言われています。
※この成長ホルモンに関してと、効果的に分泌する方法などは以前の「成長ホルモンの働きと、効果的に分泌する方法」という記事に詳しく書いてあります。
では、なぜ筋トレ後に有酸素なのか??
では最後に、なぜ筋トレの後に有酸素運動を行った方が良いと言われるのか?について説明します。
体脂肪は筋トレによって「分解」されただけでは「燃焼」して消費したことにはなりません。
分解された脂肪は血液中を駆け巡り、エネルギーとして使われるようにスタンバイされている状態になっています。
なので、締めに有酸素運動で酸素を使って、血中に分解された脂肪をエネルギ-にして燃焼することによって、効率良く体脂肪が有酸素運動で使われ、なおかつ次の休日もエネルギーの代謝が高い状態で入れるという”おいしい”状態が作れるわけなんですね。
先に有酸素運動を行わないように注意!
『有酸素運動の後に筋トレを行う』、つまり逆の順番で行うと前述したホルモンの分泌は著しく下がってしまうということもわかっているようです。
トレーニングの順番を変えただけで、プラスがマイナスに変わってしまうなら、先に筋トレを行った方がいいということは明白ですよね。
トレーニングはがむしゃらにやっても、ずっと続けてれば効果は大なり小なりでてきますが、どうせやるなら効率よく、精度の高いトレーニングをしていきたいものです。
以上、今回は大抵の方が知っていることかもしれませんが、あえて細かく運動生理学を交えて説明してみました!
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