ウォーミングアップというと、スポーツ競技を行なっている方でも、何となく適当に行ってしまっている、それほど重要視していない、という方も多いようですね。
しかし、ウォーミングアップを行うことで直後の運動のパフォーマンスが高められるということは過去の多くの研究で明らかになっていますし、その重要性に異論を挟む指導者の方というのはおそらくいないでしょう。
そもそもウォーミングアップとは、身体にとってどのような生理学的な反応をもたらし、主運動にどのような影響をもたらすのでしょうか?
ウエイトトレーニングでもそうですが、「このトレーニングでどこの部位を鍛えている」という目的や意味を理解しているのと、そうでないのとでは得られる効果というのも全く違うものになってきますよね。
これはもちろん、運動の事前準備であるウォーミングアップにも同じことが言えます。
ということで、本記事ではウォーミングアップを行うことによって身体に起こる生理学的な反応と、それによって得られる効果というのを具体的に述べていきたいと思います!
ウォーミングアップを行う目的とその効果とは?
ウォーミングアップを行うその主な目的は、ずばり『身体の筋温や深部体温を上げる』ということにあります。
身体を動かすことにより、全身の各部位の筋繊維は収縮・弛緩を繰り返し、その収縮・弛緩にともない発生する筋繊維の“摩擦熱”で、筋内の血液の温度は上昇していき、血液の温度が上昇すると血管が拡張して血流量が増加し、筋肉の温度や深部体温が上昇していきます。
筋肉は温められた状態の方が、より強く収縮し、より速く弛緩することができるので、発揮できる筋力の向上や動きのスムーズさに繋がるというわけですね。
また、動きのスムーズさの向上という点でいうと、筋肉が温められることで“筋肉の粘性が低下する”ということもそれに関係しています。
少しイメージしづらいかもしれませんが、筋肉は粘土のような「粘性」を持っていて、筋肉が温められていない状態では、この粘性というのは高くなっていて伸ばそうにも伸びづらい状態となっているのですが、温められて筋肉の温度が高まると、この粘性は低下し、筋肉も伸びやすくなるんですね。
この粘性というのは、筋肉だけでなく靭帯や腱も持っているもので、筋温や深部体温を上昇させることで同様にこれらの粘性は低下するため、関節可動域の向上にも関係してきます。
逆にこれらの粘性が高い状態で、筋肉や腱、靭帯が予期せず急激に伸ばされたりすると、組織が傷付いて怪我をしてしまいやすいので、怪我の予防という点でもやはりウォーミングアップは重要ですね。
筋温や深部体温の上昇は、こういった筋肉や結合組織の性質の変化だけでなく『神経伝達速度の向上』にも寄与し、反射神経を高めるという、これもまた運動パフォーマンスにとって極めて重要なことにも関係しています。
また、体が冷えていると血液中に運搬されている酸素や、筋肉中に蓄えられている酸素の細胞への供給が急激な運動に相応できず、エネルギー切れを起こしてすぐにスタミナ切れを起こしてしまいます。
体が温まっている方が、細胞への酸素供給というのはよりスムーズに促進されるんですね。
体が冷えた状態で激しい運動を急に始めるのと、体がある程度温まった状態から激しい運動を始めるのとでは疲れた方が違うというのは、想像に難くはないですよね。
後はウォーミングアップを行うことで、主運動を始める前の心の準備をするという、心理的な側面からの効果もその影響は大きいと言われています。
いくつか述べていきましたが、ウォーミングアップの効果をまとめると、以下のようになります。
筋力発揮の向上
関節可動域の向上
反射神経の向上
主運動中の持久力・スタミナの向上
主運動が始まる前の心理的な準備効果
怪我の防止
こうして並べてみると、ウォーミングアップも多岐に渡り重要な生理的反応や効果があるということがお分かりになるかと思います。
スポーツをされている方は、試合前だけでなく、質の高い練習をこなすためにウォーミングアップを疎かにせず行なっていきたいところですよね。
特にスポーツをされていない一般の方でも、例えば休日の体がなまっている時に、家でそのまま筋トレを開始するとすごくだるくてしんどいですが、筋トレの前に一旦外に出て縄跳びを10分ほどウォーミングアップとして入れ、軽く息を上げて体を温めてから開始するだけでも、だいぶだるさやなまりを解消した状態で筋トレに入ることができます。
スポーツをされている方もそうでない方も、ウォーミングアップの目的や効果を明確に理解し、主運動時のパフォーマンスアップに繋げてみて下さい!
それではフィットネスジャンキーでした!
関連記事:筋トレ後、運動後のクールダウンは本当に効果があるのか?