背中の筋肉といえば「広背筋」というイメージを持つ方も多いかと思いますが、僧帽筋も非常に面積の大きい筋肉であり、カラダ全体にたくましい印象を持たせるためには、僧帽筋も鍛えていくことがより効果的になります。
この筋肉は重いものを持つ時や持って移動する時などに、肩甲骨が下に引っ張られないようにと安定させるために使われやすい筋肉なので、引っ越し業者の方や建設作業員の方などは、腕や肩と並びにこの僧帽筋も発達しているという方が多いですね。
まず僧帽筋とは、一体どのような筋肉なのかをイメージしやすくするために図をみていきましょう!
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僧帽筋の解剖図
この図からも僧帽筋が非常に範囲の広い筋肉であることがわかるかと思います。
意外に思われるかもしれませんが、実は後頭部にまで及んでいる筋肉なんですね。
僧帽筋が発達していることがよくわかりやすいスポーツ選手の一人としては、サッカー元ブラジル代表選手のフッキ選手などがその一人として挙げられます。
結構有名な写真なので、見たことのある方も多いかもしれませんね。僧帽筋上部のかなり顕著な発達が確認できます。
この僧帽筋は上部・中部・下部に分けられ、これらの筋肉はそれぞれ異なる運動動作を担っています。
僧帽筋上部…僧帽筋の上部が担う動作はシンプルで、肩甲骨を上に引き上げる動作で使われるようになっています。
肩をすくめるような…まさに筋トレの「シュラッグ」のような動作ですね。
僧帽筋中部…僧帽筋の中部は肩をすくめるような動作に加え、肩甲骨を寄せる動作、そしてサイドレイズのように腕を横から上に挙げていく動作の時に、肩甲骨の動きをサポートして腕を上に挙げる動作を担っています。
僧帽筋下部…僧帽筋下部は、肩をすくませる動作とは逆に下げる動作(下制という)、そして僧帽筋中部と同様、肩甲骨を寄せる動作時と腕を横から上に挙げる時に肩甲骨の動きをサポートします。
このように、僧帽筋の上・中・下部の運動機能は微妙に異なるため、トレーニングをする際もそれぞれに適した種目を選ぶ必要があります。
僧帽筋上・中・下部には、それぞれ一体どのようなトレーニングが適しているのか?それぞれの筋トレ種目を動画を交えながらやりかたを解説していきたいと思います!
1. ダンベルシュラッグ(僧帽筋上部)
僧帽筋上部・中部・下部の中でも、鍛えたことによるカラダの変化が一番わかりやすいのが僧帽筋上部になります。
僧帽筋上部は、正面からカラダを見た時に首から肩周りの辺りに該当するので、ここの筋肉を発見させることで全体的なカラダの印象をたくましくしてくれる効果があります。
僧帽筋上部を鍛えるトレーニングといえばシュラッグが代表的な種目になりますが、バーベルを使うのとダンベルを使うのとでは、個人的にはダンベルを使った方が僧帽筋上部に効かせやすいと思うのでそちらがおすすめです。
手を前に持ってきてバーベルを掴み、肩をすくませるバーベルシュラッグよりも、真横にダンベルを持って肩をすくませるダンベルシュラッグの方が、肩甲骨の可動域を広く動かしやすく僧帽筋上部の収縮感も得られやすいんですね。
ダンベルシュラッグのやり方
① 足を腰幅程度に広げ、両手にダンベルを持ち少し胸を張る。膝は曲げない。
② 肩はダランと落とし、そこから真っすぐ上に首をすくめるように肩を引き上げる。
③ 肩を挙げた一番上で1秒ほど静止し、ゆっくりと肩を降ろしていき、ダンベルを元の位置に戻していく。
10~15回×3セットを目安に行なっていきましょう。
2. シーテッド・ロウイングマシン(僧帽筋中部・下部)
ラットプルダウン、チンニングなどでも僧帽筋の中部・ 下部を刺激することはできますが、これらの種目は菱形筋の関与もより大きくなるので、こと僧帽筋中部・下部を狙ってトレーニングするのであればシーテッド・ロウイングマシンがおすすめできる種目といえます。
フィニッシュポジションでしっかりと肩甲骨を寄せることを意識しながら行なっていきましょう。
シーテッド・ロウイングマシンのやり方
① イスの高さを、上のバーと肩の高さが平行になる位置か、それよりバーが若干低くなるように設定する。
② 胸にあてるバッドの位置を調節する。パッドを体にあてた状態で座り、手を伸ばした時に指先が触れるぐらいの位置に調節する。
③ バーを握り、息を吐きながら引いていく。引ききった時に、しっかり胸を張り、肘を閉めるような意識で行う。
重りを戻すにつれ、両側の肩甲骨が離れていってスタートポジションでは猫背の状態になり、そこから引いてフィニッシュポジションに向かうにつれ、引きながら胸を張っていくように行う。
10~15回がギリギリできる重量(10~15RM)×3セットを目安に行う。
3. ハイ・プルアップ(僧帽筋下部)
僧帽筋下部は、中部と上部に比べて比較的効かせるのが難しい部位であり、働きも弱くなりやすい筋肉です。
このハイ・プルアップは、一般的には僧帽筋下部のトレーニングとして用いられているわけではないのですが、元ボディビル世界チャンピオンの杉田茂氏が自らの書籍『筋トレ虎の巻 2 初心者・中級者のための筋トレ実践解説書』にて、ハイ・プルアップが僧帽筋下部に意外に刺激を与えるのに効果的ということで“絶対におすすめのエクササイズ”として紹介されていたので、僕も試してみたところ、普段筋肉痛になりにくい背中の下の方の筋肉…
つまり僧帽筋下部に刺激を得られたということがあったので、こちらでも紹介したいと思います。
筋トレ初心者の方は怪我をしてしまうリスクがあるので、ある程度トレーニング経験のある方に推奨の種目になります。
ハイ・プルアップのやり方
① パワーラック、または床にセットしたバーベルの前に肩幅程度に足を開いて立ち、腰を降ろしてバーベルを掴みに行く。手幅は肩幅より若干広くする。
背中は丸くならないように真っ直ぐにし、胸を張る。(デッドリフトの最初の姿勢と同じ)
② バーベルを掴んだまま股関節、膝関節を伸ばして立ち上がる。肘は伸ばし切ったまま、バーベルを太ももの高さで構えておく。(デッドリフトの立ち上がった時の姿勢と同じ)
③ 下半身の力を中心に全身を使い、肩をすくめて一気にバーベルを鎖骨・肩のラインまで真っ直ぐ引き上げる。(※動画では踵は上げてませんが、踵を上げてジャンプするような形で行ってもOKです)
④ バーベルを降ろし、②の開始姿勢に戻る。再びバーベルを鎖骨・肩のラインまで爆発的に引き上げる動作を繰り返していく。
最初はバーベルのみで行い、慣れてきたら少しずつ重りをセットしていく。
10回×3セットを目安に行う。
背中が丸まってしまうと腰を痛めてしまう危険があるので、動作中に背中を丸めないよう注意しましょう。
ハイ・プルアップは、ハイクリーンのように手首を返してキャッチする動作が出来ない、まだ習得していないという場合にその代用の基本的なトレーニングとしても行うことができます。
普通のウェイトトレーニングだけじゃなく、そろそろ全身の爆発力を鍛えるウェイトリフティング系のトレーニング(クリーンやジャークなど)も入れていきたい…だけどこれらのトレーニングに移行するには少しハードルが高い感じがする、といった場合に爆発力を養うトレーニングとしておすすめ出来るトレーニングと言えるでしょう。
僧帽筋のおすすめ筋トレ種目3選~まとめ
全身を満遍なく鍛えるという意味では、この僧帽筋を鍛えることももちろん重要と言えるでしょう。
大胸筋や広背筋などの代表的な上半身の種目を行っているにも関わらず、いまいち身体つきに迫力が出てこないという方などは、この僧帽筋、特に上部を鍛える種目を加えてみて変化を狙ってみてください!
フィットネスジャンキーでした!