ジョコビッチ、コナーマクレガー、メイウェザー、レブロンジェームズ、イチロー選手、長友選手などなど…
団体競技、個人競技問わずプロスポーツで活躍している多くの選手がヨガを取り入れているというのは最近ではよく聞かれる話ですよね。
プロスポーツ選手のパフォーマンスアップトレーニングというと、筋力を向上させるためのストレングストレーニングが思い浮かぶ方も多いかと思いますが、ヨガやピラティス、入念なストレッチも立派なパフォーマンスアップのためのトレーニングと定義することができると思います。
今回は、スポーツ選手や、そうでなくても何か趣味で運動競技を行っている人にとって、ヨガを行うことでどのようなパフォーマンスアップにつながる効果やメリットが得られるのか?ということについて述べてみたいと思います。
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アスリートやスポーツ選手がヨガで得られる5つの効果とは?
1. 柔軟性の向上による動作の改善効果
ヨガで得られる身体的な変化として、皆に真っ先に思い浮かべられる効果と言えば、やはり柔軟性の向上になるのではないかと思います。
柔軟性が向上するということは、関節の可動域が大きくなるということを指します。可動域が広くなれば、運動動作における“力積”を増加させることができます。
力積というのは、どれだけ物体に力を与えられたかという数値のことで、物理学的には『力の大きさ』×『力を加える時間』になります。
野球の投げる動作で例えると、手からボールが放たれるまでにボールにどれだけ大きな力、つまり力積を与えることができるかでそのスピードが決まるのですが、関節可動域の向上によって無理なく投球のコッキング期に、後ろにより大きく手を引き肩関節の外旋ができるようになれば、『力を加える時間』を長くすることができ、力積を増加させることができるということですね。
また、相手とのコンタクトやバランスを崩すなどの外乱によって、不意に大きく動作してしまう場合も、可動域が広くゆとりがあった方が(逆に緩すぎるということもありますがそういったケースは除いて)、怪我をしてしまうリスクを減らせるという意味でも、やはり柔軟性の向上は運動選手にとってかなり大事なものであるということは間違いないと言えるでしょう。
2. 裸足で行うことによる『固有受容器』(プロプリオセプター)への刺激
ヨガは裸足にて、立位の状態で様々なポーズをとっていくことも多いですよね。時に片足であったり、左右非対称のスタンスでポーズを可動域ギリギリの状態で保持し、そのポーズをキープしなければいけいということも多いため、足部の感覚というのも十分に意識する必要性があります。
これは足裏の『固有受容器』(プロプリオセプター)への刺激を高めることにも効果的であると考えられています。
固有受容器とは、自分の身体が『今こんな体勢になってまっせ!こんな重心や力のかかり方をしてまっせ!』という情報を脳に伝える、身体中に点在しているセンサーのようなものです。
触覚や味覚は外部からの刺激を感知するのに対して、固有受容器というのは内部の情報を脳に伝えます。
身体中に点在している固有受容器ですが、足裏にも下図のように特に多くの固有受容器が点在していると言われています。
出典:観察による歩行分析
特に前足部・外側中足部、踵のあたりですね。
この固有受容器というのは、バランスや平衡性を構成する上での要素の一つなので、バランス感覚を向上させるためのトレーニングとしてもヨガは有効であると考えられます。
3. 筋持久力(マッスルエンデュランス)の向上
ヨガと言うと、筋トレやランニングよりはキツくないだろうと考える方も多いかもしれませんが、強度次第ではアスリートの人でもこなすのに精一杯だったというぐらいに体力を使うこともあります。
また色々な筋肉に負荷が長い時間がかかるようなポーズを沢山行っていくので、自重の腕立て伏せやスクワット、チンニングなどでは鍛え切れない、細かい筋肉の筋持久力を鍛えていくのにも効果的です。
トレーニング愛好家の方で、バーベルやダンベルのトレーニングを長年行っている方などは、ヨガの動きでかなり疲労してしまうという方も多いので、もしかしたら瞬発力に優れた白筋にバランスが傾きすぎて、持久力に優れた赤筋の割合が少なくなっているという可能性もあるかもしれませんね。
4. 硬くなった筋肉を伸ばすことでの姿勢改善効果
アスリートはみな姿勢がいいというイメージがあるかもしれませんが、実は一概にそうとも言い切れず、一般の方と同じく猫背体型になってしまっている人もいますし、競技練習やウエイトトレーニングによる、一部の筋肉の酷使が原因で筋肉が硬くなり、硬くなった筋肉が関節を引っ張ってアライメント(骨や関節の配列)を乱し、姿勢不良になってしまっているということもあります。
姿勢の良し悪しも、力の発揮や動作、怪我の受傷リスクに影響を与えるだろうと考えられているので、運動動作の観点から考えても姿勢の良し悪しはやはり重要になります。
ヨガは様々なポーズをとり、身体中の筋肉を伸ばしていくので、自分の可動域が悪くなっている部分=筋肉が硬くなっている部分にも気付くことができ、伸ばして改善をしていくことができるので、姿勢改善の効果、そして姿勢改善によるパフォーマンスの向上も期待できるトレーニングと言うことができると思います。
5. 自律神経の副交感神経を高める
『呼吸は自律神経に“アクセス”するための唯一のツール』とも言われています。
ヨガではポーズと同じくらい呼吸を重要視していて、特に吐く動作を積極的に長く行っていくので、副交感神経を高めるのに効果的です。沢山息を吐くことで、半ば強制的に副交感神経を高めていきます。
アスリート、運動選手は身体を動かしている時間が長いですし、メンタルの浮き沈みやプレッシャーのかかる機会も多いことから、一般の方よりも交感神経が優位になっている時間が非常に多いと考えられているので、メンタルコントロールという部分を求めてヨガを取り入れる運動選手も多いようです。
交感神経と副交感神経は、身体を働かせるスイッチと休ませるスイッチのようなものなので、身体をしっかり回復させるという意味でも副交感神経を高めることを意図的に取り入れていくのは、身体的、精神的ストレスの大きいと考えられる運動選手にとっては大事ですよね。
一般人の方にも利点として当てはまるヨガの効果
今回はアスリートやスポーツ選手目線で、ヨガの効果やメリットを述べていきましたが、これらは一般人の方にもそのままメリットとして当てはめられるのではないかと思います。
カラダが軽くなったり、動かしやすくなったり、姿勢が改善したりすることは一般人の方の日常生活にも影響を与えますよね。
自分に欠落しているものが、カラダの柔軟性や姿勢、バランスなどであるとすれば、一般人の方でもアスリートの方でも関係なく、ヨガを取り入れることを検討してみてもよいのではないかと思います。
それではフィットネスジャンキーでした!
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